スリランカの2022年度予算案の要点

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 スリランカの2022年度予算案は、2021年11月12日にバシル・ラージャパクサ財務大臣の国会でのスピーチを通じ公表されました。本予算案はゴーターバヤ・ラージャパクサ大統領政権による2期目の予算案です。
 本予算案は、政府の政策的枠組みである「Vistas of Prosperity and Splendour (繁栄と拡大への展望)」に沿って、国の発展に寄与する10の主要セクターに対する支出と投資計画の形で提示されています。
 本記事は、本予算案とともに導入される主な税制改正等のうち、スリランカに進出・活動中の日本企業や、スリランカ進出を計画中の日本企業に役立つと思われるものをまとめたものです。

直接税

付加税

 2021年3月末に期末を迎える年度の課税所得が20億ルピーを超える 個人及び企業には、一回限りの25%の追加徴収税が課されます。

税制優遇措置

 教育・保健施設の地域間格差縮小のため、インターナショナルスクール や病院を設立するための投資に対し税制上の優遇措置が講じられます。

間接税

金融サービスの付加価値税

 銀行などの金融機関に課される付加価値税率は、一年間、15%から18%に引き上げられます。

付加価値税免除

 2002年付加価値税法第14号第1表パート(II)の(a)の項目(xxxi)が改正されます。
 本改正により、パンデミックまたは公衆衛生上の緊急事態に対処するため、医療サービスを提供する政府系病院や保健省へ寄贈される医療機器、機械、器具、付属品やその部品、病院の家具、薬剤、化学物質の輸入や供給の際に課される付加価値税は免除されます。この承認は、2022年1月1日より保健省庁長官の推薦により財務大臣が行います。

特別物品サービス税

 2021年度予算案で提案された特別物品サービス税(GST)は、2022年1月1日から施行されます。
 法案によれば、特別物品サービス税は、アルコール、タバコ、通信、賭博、ゲーム、
自動車に適用される予定ですが、税率など詳細はまだ公開されていません。

社会保障負担

 新型コロナウイルスの影響を受けた経済を再建するため、「社会保障負担」の制度が導入されます。 この負担金は年間売上高のうち1億2000万ルピーを超過した額に2.5%の割合で課されます。この制度により政府は1400億ルピーの収入を見込んでいます。この制度は2022年4月1日に施行されます。

その他

たばこ税

 即時効果を期待して、たばこへの課税は1本あたり5ルピー増額されます。

物品税(消費税)

 即時効果を期待して、酒類に対する物品税が引き上げられます。

事業登録料

 新たなスタートアップ企業の創出を奨励するため、2022年については事業登録料は
徴収されません。

財務法の改正

 財務法が改正され、投資委員会(Board of Investment)、外国為替局(Department of Foreign Exchange)、輸出開発委員会(Export Development Board)が採用する新規事業登録の複雑なプロセスが簡素化されます。これに関連し、各機関が徴収している手数料も一本化されます。

特別財務法案の提出

  • 国内及び海外の輸出業者の安全性確保
  • 外貨当座預金取引の安全性確保
  • 中央銀行が輸出に対して課す外貨交換・送金の条件の簡素化

本稿のお問合せ先

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PDF:スリランカの2022年度予算案の要点.pdf

 なお、本稿の内容は執筆者の個人的見解であり、当事務所の公式見解ではありません。記載内容の妥当性は法令等の改正により変化することがあります。本稿は具体的なアドバイスの提供を目的とするものではありません。個別事案の検討・推進に際しては、適切な専門家にご相談下さいますようお願い申し上げます。
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