【インドネシア】
ビジネス・経済・会計・税務・金融・労務ニュース

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【インドネシア】<br>ビジネス・経済・会計・税務・金融・労務ニュース

 本稿では、RSM Indonesiaからの寄稿により、初めてインドネシア進出を検討している日本企業および既にインドネシア進出している日本企業に向けて、インドネシアのビジネス・経済・会計・税務・金融・労務に関する役立つ情報をお届けします。

 インドネシアでの事業展開や現地法人設立を検討されている日本企業にご覧いただきたいインドネシアの動向をまとめています。

【寄稿】RSM Indonesia

インドネシア新大統領プラボウォ・スビアント就任
(2024年10月)

  2024年2月14日に実施された大統領選挙の結果、プラボウォ・スビアント(Prabowo Subianto)がインドネシア全国の有効投票総数の58.59%を獲得し、半分以上の州で20%以上の票を得て次期大統領に選出されました。 有権者数が2億人を超えるインドネシアの大統領選挙は「世界最大の直接選挙」とも呼ばれています。

 プラボウォ次期大統領とギブラン・ラカブミン・ラカ(Gibran Rakabuming Raka)次期副大統領は、2024年10月20日(日)に就任し、翌日、閣僚任命式を実施しました。

 平和的な大統領選挙と指導者の権力移行は、1998年のスハルト大統領の辞任以降、インドネシアが民主化に向けて大きく前進していることを示しています。

インドネシア経済ハイライト

消費者物価指数(CPI)上昇率:

・2024年8月(前月比)▲0.03%
・2024年8月31日(年間累計値)0.87%
・2024年8月31日(前年同月比) 2.12%
・2025年上昇率見通し2.50%

GDP成長率:

・2024年6月30日(前年同期比)5.05% 
・2025年成長率見通し5.20%

外国為替:

・2024年9月30日(仲値)1ドル15,138ルピア
・2025年平均値見通し 1ドル16,000ルピア

インドネシア中央銀行政策金利(BIレート):

・2024年7月17日6.25%
・2024年8月21日6.25%  
・2024年9月18日6.00%

※出典:

インドネシア中央統計庁(The Badan Pusat Statistik:BPS)「インフレーションと成長率」

インドネシア中央銀行(The Bank Indonesia)「金利と為替レート」

インドネシア財務省(The Ministry of Finance Indonesia)「2025年国家予算案(概算)」

インドネシア新首都ヌサンタラ

 過去、インドネシアの首都をジャカルタから移転させたいという意思を表明していた大統領はいましたが、 前大統領のジョコ・ウィドド(Joko Widodo)は、ジャカルタの交通渋滞、人口過密および公害悪化を原因として、ジャカルタが首都であり続けることが悪影響を与えているとして、積極的に首都移転を推進しました。ジョコ大統領は、インドネシアの首都は、1945年8月17日の独立宣言から100年後にインドネシアがかくあるべきとする政府ビジョンである「黄金のインドネシア2045年ビジョン(The Visi Indonesia Emas 2045)」を達成する原動力となる首都であるべきだと主張しました。また、ジョコ大統領は、ジャカルタの位置するジャワ島以外の、特に人口が少なく開発が遅れているインドネシア東部における経済の発展を加速させたいと考えていました。

インドネシア政府は、2022年2月15日、新首都に関する法律2022年第3号を施行し、新首都ヌサンタラ(Ibu Kota Negara Nusantara:IKN)の建設(東カリマンタン州に位置)と開発に向けての法的枠組みが整備されました。

国家予算としての拠出は、466兆ルピアの見積投資総額の約20%に限られるため、政府庁舎、住宅および社会インフラを含む新首都の開発には23年を(2045年まで)要するとされています。

IKNの開発は8つの原則により行われます。

1.自然に順応する設計

 例えば、IKNエリア内の75%は緑地を確保し、住宅、機関および商業施設は全て厳密な環境に優しい工法により建設される。

2.インドネシアの国家モットーである「多様性の共存(Bhinneka Tunggal Ika)」

 全ての住民は、在来または外来者を問わず、100%統合された環境の中で生活する。あらゆる公共施設は、ユニバーサル・アクセス、地域の知恵の活用およびインクルーシブ・デザインの原則に基づいて設計される。

3.交通網がつながっており、活動的でアクセスしやすい

 都市内におけるあらゆる移動の80%が公共交通機関により可能で、全ての住民が公共交通機関まで10分以内にアクセスできる。

4.ゼロ・エミッション

 2024年までに全ての新しい公共建築物のエネルギー効率を60%向上させ、2045年までにエネルギー需要の100%を再生可能エネルギーで賄い、ゼロ・エミッションを達成する。

5.循環的かつレジリエント

 IKN内の10%は食料生産のために使用し、2045年までに廃棄物のリサイクル率60%を達成する。

6.安全で手頃な住宅供給

 2045年までに「世界の住みやすい都市ランキング(The Global Liveability Index)」トップ10の都市になる。高級住宅、中級住宅および簡易住宅の比率は1:3:6の公正な住宅システム。

7.テクノロジーによるセキュリティと効率性

 国連の電子政府開発指数(The E-Government Development Index)で非常に高いランクを獲得する。全ての住民と企業が100%デジタルとITに接続し、デジタルサービスに対して満足と答える割合が75%を超える。

8.全ての人々に経済的機会

 2045年までにIKN内の貧困率を0%、一人当たりGDPを高所得国並み、インドネシアのジニ係数を最小にする。

 上記の原則から、「グリーン、スマート、インクルーシブ、レジリエントおよびサステイナブル」がキーワードになるといえるでしょう。

 The Nusantara Capital Authorityが発表した「The 2023 Nusantara Capital Authority(NCA)Achievements Book」によると、2022年から2024年までの第1段階においては、公共部門と民間部門の投資の混在により順調な進展が見られたといいます。

 インドネシア政府は、見積投資総額の80%以上を民間部門から調達する必要があるため、IKNに対する投資を希望するインドネシアおよび外国の投資家に対して、税制その他の面で大きな優遇措置を提供する規則を施行しました。 これには、所得税の減免や土地の権利期間の延長などが含まれ、幅広い事業分野に対して適用されます。

インドネシアの主な税制

法人所得税(CIT)率22% 注1
新規設立企業に対する法人所得税率売上高に対して0.5%  注2
付加価値税(VAT) 率11% 注3
非居住者に対する支払いに適用される源泉徴収税率 注420%(租税条約あり)
居住者個人に対する最高累進税率35% 注5

脚注:

1.売上高が500億ルピアを超え、ファイナルタックス(The Final Tax)の対象とならない場合に適用される。 ファイナルタックス(The Final Tax)は、特に、不動産業(土地・建物賃貸および販売収益)および建設業に適用される。

売上高が500億ルピア以下の場合、課税利益の一定割合が11%で課税され、残りは22%で課税される。11%で課税される割合は、「48億ルピア÷売上高」の算式により決定する。

したがって、会社の売上高が240億ルピアの場合、「48億÷240億=20%」つまり、課税利益の20%に11%の法人所得税が課され、課税利益の80%に22%の法人所得税が課されることになる。

2.企業が税務登録時に別段の申請をしない限り、新規設立企業には売上高の0.5%に相当するファイナルタックス(The Final Tax)が課され、一般的な法人所得税率を用いた利益ベース税は課されない。 ファイナルタックス(The Final Tax)は、納税者が翌課税年度に利益ベース課税を適用することを申請するか、または、当課税年度の収益が48億ルピアを超えるまで、最長3課税年度適用される。 いずれの場合も、利益ベース課税は翌課税年度から適用される。 利益ベース課税に移行した後にファイナルタックス(The Final Tax)課税に戻ることはできない。

3.VAT税率は、法律による引上げが修正されない限り、2025年1月1日に12%に引き上げられる。

4.非居住者に対する配当、利子、使用料(賃料を含む)およびサービス(雇用を含む)料の支払いに対して20%の源泉徴収税が課される。 日本インドネシア租税条約により、配当、利子または使用料に対する源泉徴収税が軽減され、また、サービス料に対する源泉徴収税が免除される可能性がある。

5.35%の最高累進税率は年間課税所得が50億ルピアを超える居住者に対して適用される。

本稿のお問合せ先

株式会社東京共同ホールディングス 事業開発企画室
TEL:03-5220-6201
Email:shozo-suehiro@tkao.com
URL:https://international-tax.jp/wp/ 国際税務相談デスク
お問合せ・無料相談のお申込み:https://international-tax.jp/wp/contact/

本稿はRSM Indonesiaから寄稿された原稿に依拠して作成しております。本稿内容は監修者の個人的見解であり、当事務所の公式見解ではございません。本稿に記載されている情報は一般的なものであり、必ずしも貴社の状況に対応するものではございません。記載内容の妥当性は法令等の改正により変化することがございます。本稿は具体的なアドバイスの提供を目的とするものではございません。個別事案の検討・推進に際して、貴社において何かしらの決定をする場合は、貴社の顧問税理士等、適切な専門家にご相談下さいますようお願い申し上げます。

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